捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
私達がどう過ごしていたか、誰かから聞いたかはわからない。
それを知った時、結城さんは何を思うのだろう。そんなことを思わないこともないが、私は前だけを向いていきたい。
「紗耶香さん、ちょっといいかしら?」
そんなことを考えていた私だったが、ホテルスタッフの案内で入ってきた人に、私は目を向けた。
「おばあさま」
その姿に瑠偉がパタパタと走って行く。
「瑠偉、今日も可愛いわね」
瑠偉に満面の笑みを浮かべ、お母様は瑠偉の頭を撫でる。そう祥吾さんのご両親だ。
「お母様、今日はありがとうございます」
立ち上がってあたまを下げた私に、お母様は小さく頭を振る。