捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
そんな最終日を終え、私は気持ち悪さを我慢しつつ、いつもより長く電車に揺られ家へと帰る。

「ただいま」

「お帰り、紗耶香。あら」
私の顔を見るなり、お母さんは小さくため息を付いた。

「悪阻酷そうね。何なら食べれそう?」

「ありがとう。リンゴかな」

答えた私に笑顔を向けると、お母さんは台所へと戻っていった。
そんなお母さんの後姿を見ながら、私は昔使っていた自分の部屋へと向かう。
この退職を機に、一人ではどうしようもないと両親にすべてを話した。

すごく怒られたが、帰って来いと言ってくれた父、そして近所の目や、世間体などもあると気にした私に、そんなことを気にしなくていい、身体を大事にしなさいと言ってくれた母。二人には感謝しかない。
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