【短】You're my only shinin' star
次の電車に乗り、着いたのは家よりも少し離れた森林公園。
結構ベタだけど、デートスポットになっていて、繁華街も近いせいか様々な年齢層のカップルたちが、それぞれのスタイルで、その空間を過ごしていた。
「……、」
「…………、」
うつむき加減のままで、何も話さない麻沙美に、何から伝えていいのか分からない俺。
でも、駅から引いた手はそのままで…少し冷たい麻沙美の手から、緊張が汲み取れる。
「あのさ…この前の、話なんだけど。ちゃんと俺なりに考えての答えだから、聞いてくれるか?」
「…うん」
震えているまつ毛に、キスを落としたい気持ちを抑え込んで、深呼吸をする。
「俺は、麻沙美のことが………好きだ」
そう言葉にした瞬間、俺と麻沙美の間が少しだけ、ピリついたような気がした。
「……がと……」
「……え……?」
「ありがと…きみくん…」
今までうつむき加減だった麻沙美は、泣き笑いの表情を浮かべて俺を初めて見つめてくる。
「麻沙美…?」
「ほんとに、ありがと…っ」
麻沙美は、そう言うとくるり、と俺に背を向けてそれこそ逃げ出すように、走り去ってまう。
「…っ。くそっ!なんでこうなるんだよ!」
俺は、その背中を追うことがほんの少しだけ遅れて、結果見守るだけの形になる。
『本気で、一度きりで良かったのか…?』
そう、自問自答したけれど、やっぱり自覚してしまった気持ちに歯止めはきかず…。
俺は、走り去ってしまった麻沙美の後を、慌てて追うことにした。