【短】You're my only shinin' star
はぁ、はぁ、
乱れる呼吸に、愛しさが重なる。
なんで、こんなに簡単なことに気付けなかったのか…。
俺は……。
俺は…。
ずっとずっと麻沙美のことが好きで。
好きで好きで好きで…欲していたんだ…。
そんなことを思いながら走り続けると、ようやく麻沙美の姿を視界に捉えることが出来た。
「待ってっ…待てってば!」
「……もういいんだよ?私は、十分だよ…?」
掴んだ肩。
少し強引に振り向かせた麻沙美は泣いていて、それだけで胸が苦しくなる。
「俺は…俺は十分じゃない。麻沙美のことが好きだって、ようやく気付いた…」
「同情なら…」
「同情なんかで、こんなこと言えるわけないだろ?好きだ。好きなんだよ……だから…泣くな…」
ぎゅ…
強く強く抱き締めて、それでも離れようと抵抗する麻沙美を掻き抱くようにして、押さえた。
どくん、どくん
俺の気持ちは、この鼓動と共に麻沙美に届くだろうか?
すると、麻沙美が口を開いて小さく囁く。
「…私なんかで、いいの?」
「ばか。なんか、なんて言うなよ。俺はお前がいいんだから…」
「きみくん…」
「さ。泣くのはおしまい。…改めまして…麻沙美。俺と…いや、俺の彼女になって下さい」
震える手で、麻沙美は俺の抱き締めた腕に触れた。
「私、嫉妬深いよ?」
「うん、それは俺が悪いからすぐ謝る」
「こうやってすぐ泣いたりするよ?」
「うん、構わない。抱き締めるから」
「……好き……」
「俺も、好きだ」
キミは、俺のたったひとりの大切な人だから。
それを教えてくれたことに感謝したい。
こんな俺で、ごめん。
でも、好きになってくれて、好きでい続けてくれてありがとう。