きみのため



「昨日もその前も、今日だって。
楽しそうに歩いてたよね」




ゾクッとした。


どうして紫乃くんが
そんなことを知っているの…?




「な、なんで…それを」


「否定しないんだ。いい子だね。嘘なんかついてたら、今度は真央の可愛らしい舌を切り取っちゃおうと思ってたんだけど」



いつもみたいな穏やかな笑顔で声でそれを言うから、怖くて息を忘れそうになる。




「ずっとずっと。ここ2週間、真央のことを見てた。盗聴器だってつけてるよ」



まるで頭を鈍器で殴られたようだった。


紫乃くんがそんなことをしていたなんて…


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