きみのため




「わたしには紫乃くんがいるから入る隙なんてないのにね。ほんと、わたしのどこに惹かれる要素があったんだか…」




ため息が出ちゃうよまったく。


体に溜まった不快さを浄化するように、
空に煌めく星を目に焼き付けていると



車が静かに止まった。




「?…紫乃くん?」



窓から運転席へ顔を向ければ、
ふっと視界が陰った。



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