君がいなくなった後の世界で
「ねぇ、瞬」
「んっ?」
「私の人生が終わって、また瞬に逢えたなら‥‥‥!」
どうか、私の一生のお願い。
「その時は、思いっきり私を抱きしめて」
この三途の川を渡るときが来たら、『頑張ったね』と強く抱きしめて欲しい。
そんな切実な私の願いに、瞬は飛びっきりの笑顔で答えてくれた。
「もちろん! 思いっきり抱きしめてあげる。もう片時も離れたりなんかしない。ずっと、瑞希の傍にいるよ」
「約束だよ?」
「うん。約束する」
元の世界に戻ったら、しばらく瞬に会えなくなるけれど、その約束があるだけで頑張れそうな気がするよ。
「じゃあ‥‥‥またね、瞬」
笑顔で手を振る。
“さよなら”は言わない。
そんな私に気づいたのだろう。
「またね、瑞希」
そう言って、瞬は笑顔で手を振り返してくれた。
瞬に見送れながら私は、もと来た道を戻った。