君がいなくなった後の世界で
「おい、瑞希。まだ、寝てろって」
お父さんの言葉を押し切って、身体をゆっくりと起こそうとすると、頭がズキっと痛んで思わずこめかみを摩った。
身体の至る所に包帯が巻かれていることは見えていたけど、まさか頭にも巻かれているとは‥‥‥
通りで、痛いわけだ。
「瑞希」
お父さんが真剣な眼差しで私を見つめる。
「なんで、死のうとした?」
瞬と全く同じ問い。
「‥‥‥瞬に会いたかったから。死んだら会えると思ったから」
俯きながらも正直に答えると‥‥‥
「バカ瑞希!!」
その瞬間、右頬に鋭い痛みが走った。
お父さんが殴ったのだと分かった。
「瞬くんはそんなこと望んでないよ」
涙ながらにお母さんは言う。
本当にその通りで、瞬は望んでいなかった。
私に“生きて欲しい”と強く願ってた。
瞬に会えたこと夢なんじゃないかって思うけど、ビルから飛び降りる前の私と比べたらとても心が軽やかだった。