君がいなくなった後の世界で
「瑞希が生きてくれて良かった」
お母さんが私を抱きしめてくれる。
久しぶりに感じる温かいぬくもり。
とっても嬉しいんだけど‥‥‥
「ちょっ、お母さん。痛いよ〜」
身体中痛みが走っているというのに、お父さんまで。
「全部、ビルから飛び降りた瑞希が悪いんだからな」
お父さんはそう文句を言うけれど、その中でも優しさを感じる。
ーー『現実世界に戻っても、きっと瑞希の帰りを待っている人たちがいるよ』
瞬が言っていた通り。
私のこと、待っている人たちがいたよ。
君がいなくなった後のこの世界は、とても冷たくて残酷な世界。
でも、優しくて温かい世界でもあるんだ。
また、君に逢えるその時まで私らしく生きていくよ。
瞬の分まで。
だから、空の上でいつまでも見守っていてね。
END