HONEYBEE(3)~エリート外科医の婿入り婚!!溺愛は御遠慮致します~
彼の奢りで会計を済まして、その足で区役所に足を運んで婚姻届の用紙を貰った。
そこからはあっという間に入籍まで進んだ。
彼と過ごした初夜から一週間後。
彼も東亜に復帰を果たし、日勤と当直をこなす。
入籍を済ませ、私と黒人さんは松濤の私の自宅を訪問して、私の両親に入籍報告をした。

「そうか・・・これで世良君はわしの義理の息子になったのか…」
「はい…不束者ですが…よろしくお願いします…お義父さん」
「ウチは大歓迎だ…なぁー…眞也子」
我が家のリビングルームのソファに腰を下ろし、四人でコーヒーを飲みながら私達の入籍の喜びを分かち合った。

「はい…こちらこそ…娘の眞白を宜しくね…黒人さん」

「はい、お義母さん」

二人は私と黒人さんの入籍を心から喜び、安堵していた。
―――二人が真に望んだのは後継となる男児。

でも、女児である私が生まれてしまった・・・

心臓に持病を持った母は命がけで私を産んだ。第二子の妊娠出産はドクターストップがかかり、断念。
こうして、黒人さんが義理の息子となり、誰よりも後継者を産むコトが出来なかった母が一番安堵しているコトだろう。
祖父は母の持病を知り、後継者が産めないかもしれないと懸念し、二人の結婚には猛反対。だけど、祖母は祖父を説得して、結婚に至ったと。
母からそう教えて貰った。

祖母は心優しく、日溜まりのように温かな心の持ち主で、祖父よりも懐が広かった。
母に対して、宇佐美家本家を継いだ充斗の父や叔母たちは冷たく当たっていたが…祖母だけは味方だった。


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