HONEYBEE(3)～エリート外科医の婿入り婚!!溺愛は御遠慮致します～

「俺の母さんがそう言っていた…」

父と結婚する時、欧米の慣習のサムシングフォーと共に左足の靴の中に忍ばせた六ペンスのコイン。
古くからの言い伝えで、花嫁が古い物、新しい物、借りた物､青い物（サムシングフォー）を身に着けて、左足の靴の中に六ペンスのコインを忍ばせて、結婚式を挙げると幸せな人生が送れると説明してくれた。

だから、黒人にも幸せな人生が送れるようにこのコインをあげると母がくれた。
言わば、今の俺にとっては母の形見となってしまった。

でも、幸せは自分で掴むモノだと現実主義的な俺には持っていても無意味だった。
「いいの？」

女の子は泣き止み、コインを受け取って中庭の木々の隙間から射し込む木漏れ日に翳した。

「すごい・・・ひかってる・・・」

女の子は気に入ったのか嬉しそうに笑った。

今まで大泣きしていたのが嘘のよう。

「ありがとう・・・おにいちゃん・・・」

「眞白…何処に居るの?眞白」

「あ、ママだ！」

女の子の母親が彼女を捜していた。

「早く行きなよ…ママが捜してるぞ・・・」

「うん、ありがとう・・・おにいちゃん」