レポート

「はー。やっと出られた。」

 二人はどうにかエレベーターから出ることが出来た。

「感謝しなさいよ。」

「俺も手伝ってやっただろ!」

 彼の助力もあり、あれから彼女は手際よく修理を済ませてエレベーターの扉は問題なく開いた。

 しかし、現在時刻PM7:55。

 もうすでに外は夕闇に包まれており、棟内にいても秋の肌寒さが伝わる。

「あーあ。もう無理だな。」

「そういえば、なんで時間をそんなに気にしていたのよ。」

 そう言われると、彼は事の次第を彼女に話した。

 しかし、「自業自得でしょ」と言い残して彼女は去って行ってしまった。

「何だよ。あいつ。」

 このレポートをどうするべきか。

 彼女の後姿を眺めながら、左手に握りしめたその紙切れたちを彼は丸めて、近くのゴミ箱へ投げ入れた。

「待てよ!」

 そして、彼女の方へ走り出した。








< 9 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop