レポート
「はー。やっと出られた。」
二人はどうにかエレベーターから出ることが出来た。
「感謝しなさいよ。」
「俺も手伝ってやっただろ!」
彼の助力もあり、あれから彼女は手際よく修理を済ませてエレベーターの扉は問題なく開いた。
しかし、現在時刻PM7:55。
もうすでに外は夕闇に包まれており、棟内にいても秋の肌寒さが伝わる。
「あーあ。もう無理だな。」
「そういえば、なんで時間をそんなに気にしていたのよ。」
そう言われると、彼は事の次第を彼女に話した。
しかし、「自業自得でしょ」と言い残して彼女は去って行ってしまった。
「何だよ。あいつ。」
このレポートをどうするべきか。
彼女の後姿を眺めながら、左手に握りしめたその紙切れたちを彼は丸めて、近くのゴミ箱へ投げ入れた。
「待てよ!」
そして、彼女の方へ走り出した。