嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
「今夜は久しぶりに君とゆっくりできるかな」
「はい! 話したいことたくさんあるんですよ。あ、でも一緒に映画を観たりするのもいいかなぁ」

 寝不足で疲れきっていたはずなのに、礼とふたりきりで過ごせるとなると途端に元気が出てきた。ウキウキとはしゃぐ美琴を礼は後ろから抱きしめる。

「お喋りも映画もいいけど、まずは美琴を堪能したい」

 礼は美琴の身体をくるりと回転させると、自分の膝の上にのせた。

「少し痩せたな」
「瞭にどんどん栄養を持っていかれちゃって……妊娠中は太りすぎってお医者様に注意されたくらいだったのに。礼さんはぽっちゃりとスレンダーならどちらがお好みですか?」

 体型なら、努力でどうにかできるかもしれない。少しでも礼にかわいいと思ってもらいたい。そんな気持ちで美琴は聞いた。

「どちらでも。俺の目に映る君はいつだって、世界で一番綺麗だ」

 至近距離で見つめられて、美琴の胸はきゅんと高鳴った。

(夫婦になって、パパとママにもなったけど、今でもこんなにときめくんだから礼さんってすごい!)

 彼の手が優しく頬を撫る。それだけで美琴の身体は甘く疼いた。

「たまには美琴からキスして」
「えぇ?」
「俺ばかり欲しがっているようで、少し不安になる」

 苦笑しながらも、礼は決して美琴を逃しはしない。扇情的な瞳にとらえられ、美琴は身じろぎもできなかった。
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