嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
「そ、そんなことはっ」
「ほら。素直なのは君の一番の魅力だろ」

 甘く攻めたてられ、美琴はとうとう観念した。彼の唇に自分から顔を近づける。

「私も。礼さんが欲しいですっ」
「よくできました」

 深く濃密なキスに美琴は息をするのも忘れて溺れていく。

「はぁ、うんっ」

 礼の指先は美琴の弱いところを的確に攻めてくる。背筋に電流が走ったかのように、美琴の身体は大きく波打つ。礼の唇によって美琴の白い肌にはいくつもの赤い花が咲いた。

「愛してるよ、美琴。この時間を心待ちにしてた」

 そう言って、彼は妖艶に笑う。そのとき、「ふえぇ〜」という特大の泣き声が襖を隔てた隣室から届けられた。
 美琴と礼ははたと我に返り、顔を見合わせる。こういう素に戻った瞬間の気恥ずかしさは、なんとかならないものだろうか。

「えっと。瞭が呼んでますね」
「だな。俺が行くよ」

 礼は立ち上がると隣室へと向かう。

(うわ〜ん。恥ずかしいし……ちょっと、いや、結構残念だし)
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