嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
 瞭を抱いた礼が戻ってきた。

「残念だけど、今夜は三人で眠ろうか」
「ご、ごめんなさい」
「君が謝ることじゃない。けど……」
「けど?」

 美琴が続きをうながすと、礼は子供のように拗ねた顔でぼやいた。

「最近少し後悔してる。あのときの契約は懐妊契約でなく恋人契約にすべきだった」
「なんですか、それ」
「そうすれば、君と存分に恋人期間を楽しめたのに。俺たちは恋人期間が短すぎた」

 礼がそんなふうに思ってくれていることが、美琴は嬉しくてたまらなかった。

「瞭がもう少し大きくなったら、そのときは恋人気分でたくさんデートしてくださいね!」
「そうだな。それまで、あともう少しの辛抱だな」

 なんて言っていたのに……瞭にはすぐに妹が産まれた。それも女の子の双子だ。年子+双子の育児に美琴も礼もかかりきりで、ふたりきりのデートが実現するのはずっと先の話になってしまった。              

              END

 








 













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