嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
(って、なんで私が御堂さんの恋愛相談にのってるのよ。うちはそれどころじゃないのに!)

 美琴をじっと見ていた礼が話を本題に戻した。

「だが、俺の跡継ぎ問題が解決したら困るのは君じゃないか? 五千万のあてが他にあるのか」
「ない……です。なんとか他の交換条件にしていただくことは」

 美琴は懇願したが、礼は冷たく首を横に振った。

「無理だな。子供以外に望むものなどないし」

 礼がふいに距離をつめてきた。

「あれこれ考えずに俺の条件をのんでおけ。悪いようにはしない」

 詐欺師に騙された結果、もっとタチの悪い別の詐欺師にひっかかったように思えてならない。
 礼は唇の端を持ち上げニヤリと笑った。

「あきづきは創業何年だ? 代々積み上げてきたものがここで終わって本当にいいのか」
「イエスと言うなら、5千万は今すぐ渡してやれるのにな」

 悪魔のささやきが美琴を揺さぶる。拷問の時間はまるで永遠のように感じられた。そして、とうとう美琴は陥落してしまった。

「わ、わかりました。その条件のみますっ」
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