嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
礼は美琴の荷物をさっと取ると、すたすたと廊下を進んでいく。美琴は慌てて彼を追いかけた。
「荷物くらい自分で持ちますよ」
「いいから」
礼は離れとつながる外回廊へは向かわず、母屋をまっすぐに直進した。
「あれ。私の部屋は離れじゃないんですか?」
丸代や御堂家で働く住み込みの人間はみな、離れに部屋をもらっているのだ。当然、美琴も離れで暮らすのだと思っていたのだが。
「俺の部屋だから母屋の奥だ」
「御堂さんの!? 同じ部屋を使うんですか?」
「三間あるから、ひとつは君が自由にしていい。寝室は一緒だ」
最後のひとことに美琴の頬はかぁと赤く染まった。それを見た礼はふっと目を細め、美琴の耳元に唇を寄せた。
「夜が待ちきれないな」
彼がくすりと笑ったのを気配で感じた。美琴は上目遣いに礼を睨む。
「御堂さん、楽しんでるでしょう」
「別に。そんなことはない」
否定の言葉とは裏腹に、礼は子供みたく無邪気な顔でくっくっと笑っている。
(こんな顔もするんだな)
「素敵なインテリアですね」
どこまでも続く長い廊下を歩きながら美琴は言った。
「和洋折衷は京都にいる母の趣味だ。俺と親父は準和風が好みだが」
「荷物くらい自分で持ちますよ」
「いいから」
礼は離れとつながる外回廊へは向かわず、母屋をまっすぐに直進した。
「あれ。私の部屋は離れじゃないんですか?」
丸代や御堂家で働く住み込みの人間はみな、離れに部屋をもらっているのだ。当然、美琴も離れで暮らすのだと思っていたのだが。
「俺の部屋だから母屋の奥だ」
「御堂さんの!? 同じ部屋を使うんですか?」
「三間あるから、ひとつは君が自由にしていい。寝室は一緒だ」
最後のひとことに美琴の頬はかぁと赤く染まった。それを見た礼はふっと目を細め、美琴の耳元に唇を寄せた。
「夜が待ちきれないな」
彼がくすりと笑ったのを気配で感じた。美琴は上目遣いに礼を睨む。
「御堂さん、楽しんでるでしょう」
「別に。そんなことはない」
否定の言葉とは裏腹に、礼は子供みたく無邪気な顔でくっくっと笑っている。
(こんな顔もするんだな)
「素敵なインテリアですね」
どこまでも続く長い廊下を歩きながら美琴は言った。
「和洋折衷は京都にいる母の趣味だ。俺と親父は準和風が好みだが」