嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
 礼はそのクールな外見からはとても想像できないほどに、熱く激しく美琴を求めた。でも、決して乱暴ではない。むしろ心から愛おしむ人を抱くかのように美琴を愛した。
 甘くとろけるような眼差しを向け、手はぎゅっと強く握って決して離さない。

(なんか、こんなふうにされたら……勘違いしちゃいそう)

 彼に愛されているかのような錯覚におちいりそうだ。

「礼さんっ。そんなに優しくしないで……」
「乱暴なのが好みなのか?」
「そうじゃないですけど……わかっていても、勘違いしそうになります」

 上気した頬で上目遣いに礼を見あげる美琴。礼はそんな彼女の頬をそっと両手で包みこむと、ふわりとした笑みを浮かべた。

「優しくするに決まってるだろ。俺との夜を嫌いになられたら困るからな」
「で、でも」
「俺を好きになれとは言わない。だが、俺と過ごすこの時間は好きになってくれ。これから幾度も夜を重ねることになるんだから」
「……はい」

 そう、美琴と彼の契約はこの一夜限りで終わるわけではない。約束を果たすまでは何度でも身体を重ねることになる。

(でも、こんなのって)

 礼は頭のてっぺんから足先まで、まるでマーキングするように美琴の全身を愛し尽くす。繊細な指先に翻弄され、甘い唇に浸りきって溺れていく。

「礼さん、ダメっ」

 次第に言葉を紡ぐことすらできなくなり、自分のものとはとても思えない淫らな吐息ばかりが美琴の口からこぼれた。

「初めてにしては上出来だな」
「あ、あぁ」

 礼の身体がゆっくりと美琴に覆いかぶさる。彼の熱を受け入れたその瞬間に、美琴は意識を手放してしまった。

「美琴っ」

 彼が初めて自分の名を呼ぶその声を遠くに聞きながら。


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