嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
(手の届かない人を本気で好きになっちゃうなんて、私ってバカだな)
美琴は慌てて指輪を外した。ずっとつけていたら、余計に苦しくなるような気がしたからだ。
「なんで外すんだ?」
「だって、こんな高級そうなものに傷をつけたらと思うと怖いです」
丁寧に箱にしまい直そうとして、美琴は気がついた。指輪の内側になにか書かれている。ブランド名かなにかだろうか。光に透かして読もうとすると、礼が焦ったような声をあげた。
「それはっ」
『R to M』指輪にはそう刻印されていた。
(RとMって……礼さんと私?)
「意外とめざといな。気づかれないかと思ったのに」
礼が照れたようにぷいっと顔をそむけた。彼のその表情に愛おしさがこみあげた。美琴はあははと笑いながら礼を見る。
「そんなに照れることないじゃないですか」
「こういうのは、なんだか気恥ずかしい」
「それなら無理して刻印なんかしなくても」
礼はぐいっと美琴の腕をひくと、自身の胸のなかにすっぽりと包みこんだ。
「俺のイニシャルを刻んだものを君に身につけて欲しかった。子供みたいな独占欲だ」
礼の鼓動がいつもより速いような気がした。彼の力強い腕のなかは温かくて心地よくて、ずっとこうしていられたらいいのにと美琴は叶わない夢を見る。
「大事にします。礼さんからの初めての贈り物」
「うん」
ふたりは優しく微笑みあった。
束の間の甘い幸せにひたる美琴に、もうひとりの冷静な自分がささやく。
『そろそろ止まらないとね。だって、崖に向かって走ってるようなものだもの』
美琴は慌てて指輪を外した。ずっとつけていたら、余計に苦しくなるような気がしたからだ。
「なんで外すんだ?」
「だって、こんな高級そうなものに傷をつけたらと思うと怖いです」
丁寧に箱にしまい直そうとして、美琴は気がついた。指輪の内側になにか書かれている。ブランド名かなにかだろうか。光に透かして読もうとすると、礼が焦ったような声をあげた。
「それはっ」
『R to M』指輪にはそう刻印されていた。
(RとMって……礼さんと私?)
「意外とめざといな。気づかれないかと思ったのに」
礼が照れたようにぷいっと顔をそむけた。彼のその表情に愛おしさがこみあげた。美琴はあははと笑いながら礼を見る。
「そんなに照れることないじゃないですか」
「こういうのは、なんだか気恥ずかしい」
「それなら無理して刻印なんかしなくても」
礼はぐいっと美琴の腕をひくと、自身の胸のなかにすっぽりと包みこんだ。
「俺のイニシャルを刻んだものを君に身につけて欲しかった。子供みたいな独占欲だ」
礼の鼓動がいつもより速いような気がした。彼の力強い腕のなかは温かくて心地よくて、ずっとこうしていられたらいいのにと美琴は叶わない夢を見る。
「大事にします。礼さんからの初めての贈り物」
「うん」
ふたりは優しく微笑みあった。
束の間の甘い幸せにひたる美琴に、もうひとりの冷静な自分がささやく。
『そろそろ止まらないとね。だって、崖に向かって走ってるようなものだもの』