嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
四章 翡翠の冷笑
「パーティーですか?」
「そう。来週末に篠宮家のご令嬢の誕生日パーティーが帝光ホテルで催される」
「篠宮って、あの銀行やら商社やらをたくさん持ってるあの篠宮グループですか?」
「そうだ」

 夕食を終えた後で、礼からそんな話を聞かされた。篠宮といえば、いわゆる旧財閥系の家で国内でも一、二を争う大企業だ。その篠宮家と付き合いがあるなんて、やはり礼はVIPなのだなと美琴は改めて実感する。

「帝光ホテルでパーティーなんてさすがですねぇ」

 篠宮家のお嬢様はどんな人なのだろう。きっと綺麗な人に違いない。

「礼さんはなにを着ていくんですか? 和装なら私が見立ててもいいですか」

 美琴はウキウキしながらそう尋ねた。最近の礼は着物の見立てを美琴に任せてくれるのだ。偽婚約者とはいえ、少しでも彼の役に立てるのは嬉しかった。

(なにより……礼さん、どんな着物でも似合うんだもん。楽しくて仕方ないのよね~)

 着物オタクの美琴にとって、礼は最高のモデルだった。

「あぁ、俺の服装は君に任せる」
「やったぁ」
「それから、君の振袖も選んでおくように」
「え?」

 (振袖? 君の?)

一体なんの話だろうか。美琴が聞き返すと礼は平然とこう答えた。
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