嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
 礼は悪戯な瞳で美琴を見つめると、くすりと笑った。

「大事な茶会の前だったのに、君のせいだぞ」
「ご、ごめんなさい! よく考えたら準備だけでなく本番も台無しにしてしまったし」

 まりえとあんな騒ぎを起こし、礼の大切な日をぶち壊してしまった。美琴は改めて自分のしたことの重大さに思い至り、青くなる。

「まぁいいさ。一生かけて償ってもらうから」
「一生?」

 美琴は礼を見上げた。礼はとろけそうに甘い笑顔で、美琴にこう告げた。

「そう。罰として、君には生涯俺のそばにいてもらう。籍も入れるし、挙式もするぞ。偽婚約者じゃなくて本物の妻だ。覚悟してくれよ」
「礼さん。それ……罰じゃなくてご褒美です!」

 美琴はぎゅっと礼を抱きしめ返した。

 御堂家の関係者は反対することだろう。身の程知らずと、まりえ以外にも笑われるかもしれない。でも、今はそれでもいいと思える。礼がこんなに幸せそうに笑ってくれるなら、他のことなんてどうでもいい。どうとでもなる。美琴はそんな気持ちだった。

(礼さんがいてくれるなら、怖いものなんてなにもない)

「愛してる、美琴」
「私も。大好きです」
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