消えない傷・消えない痛み

**価値もない


この所、暖の容態が不安定だった。

倒れる事はないが····
体調が悪い度に病院へ行っているから。

今日も診察にきた
と、LINEがきたので
慌てて、暖のいる場所へと行く。

暖は、微笑みながら
手をふっている。

ああ~、良かったと思い
暖を抱き締め
暖は、まだ、大丈夫。
暖は、すこぶる元気だ。
と、自分に何度も言い聞かす。


その日の二、三日後に·····
やはり、暖が病院に来て
暖の元へ行くとき·····

伊織を見た。

あの変わらぬ出で立ちのまま····

思わず·····足が止まってしまった
だが······

伊織の横には
可愛い女の人がいた。

ああ、やはり、彼女が出来たから
私は、切られたんだ。

伊織とその女性の横には
伊織のお母さん?のような方がいた。


彼女を両親に合わせる為に
日本へ帰国したんだ。

私の時には、一度も、帰らず
連絡もしてくれなかったのに

こんなことなら
アメリカに行くとき
きちんと終わらせれば良かった。

三年の間
ひたすら待った。

LINEの返事がなくても

伊織が大好きだったから····
伊織を愛していたから····

だけど······

私は、別れの言葉を
言われる価値もない存在だったのだと
改めて思い知らされた。

だから、あの時
「待っていてほしい。」
と、言われてもらった指輪を
送り返しても、なんの反応も
なかったのだ。

情けなくも
まだ、涙がでる。

きちんと、言われていたら
こんなに苦しまなかったの
だろうか?

暖に心配かけたくないから
上を向き、歯を食い縛り
涙を振り切る。

それから、暖の元へ急いだ。
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