消えない傷・消えない痛み

＊＊倒れる

歩いても···すぐに立ち止まる
立っていたも···足元がふらつく

少しの時間でも
暖の疲れ方が酷くなり

次に何らかの症状がでたら
入院をさせようと
お義母さんと主治医の高木先生と
話しあっていた。

暖と入籍して·····
一緒に暮らし始めて·····
８ヶ月を過ぎていた。

暖との生活は
穏やかで温かくて
ゆったりと毎日が過ぎていく
感じがしていた。

朝、起きて朝食を作り
暖を起こし一緒に食べる

暖の食べる量は、本の少しだが
ゆっくり、味わってくれる
そして、必ず
「美味しい」
と、にっこり笑う。

この笑顔を見る度に
作る喜びがわく

お互い出社の準備をして
玄関に向かう
私達は車を買い
私が暖を病院へと送り
研究室へと行く

暖は、診察は無理ではと
病院側に伝えたが
患者さんからの人気が凄くて
二、三人でも良いから診て欲しいと
頼まれて診ている。

それが、かえって
暖のやりがいに変わっている。
ありがたい話だ。


私と暖には身体の繋がりはない。

私は大丈夫と何ども伝えたが
暖は、首をふるだけ·····

そう言う行為をするだけで
疲れるからだと
私は勝手に思っていた·····が·····

キスは沢山する
暖から、
「キスだけは沢山しても良い？」
と、言われて
「もちろん」
と、答えた。

だから、暖は隙あらば
キスをしかけてくる。

そんな他愛ないやり取りが
私の心を温かくしていた。

土日のどちらかは
お義母さんが来たり
私の両親が遊びに来たりして
過ごしていた。

皆、暖を気づかい
暖と過ごす時間を大切にしていた。


そんな日々の中·······

《　暖が倒れた　》

私は、教授に伝え
大学を後にする。

病院に着くと
お義母さんも丁度到着した。

二人で病室に行くと
高木先生が診察・処置を施していた。

暖の体には、
沢山の機械を取り付けられた。

私とお義母さんは、
高木先生に呼ばれ
「美桜さん、お義母さん。
はっきり申し上げます。
青葉は····暖君は·····、
この二、三日が峠です。
このひと月、暖君はかなりの
痛みと戦っていたと思います。」
「そんな·····っ····先生っ····」
だって、暖は普通だった····から·····
「見せなかったと思います。」
と、先生に言われて
涙が止まらなかった。

お義母さんも涙をいっぱい
瞳にためていた。

私は、私の両親と教授、凛さんに
連絡をした。

教授は、
「美桜が納得するまで
　　　　暖君につきなさい。」
と、言ってくれた。
凛さんは、帰りによってくれた。

私の両親も駆けつけた。

暖は、目を覚ましていない
このまま、開く事なく
行ってしまうのではないかと
思わずには、いられなかった。