消えない傷・消えない痛み
**意識戻る
朝からお義母さんと交代で
ご飯を食べて一度家に帰った。
私は、研究室に顔を出して
総務の人に名義変更をお願いした。
少しでも長く暖の妻でありたい
ただ、それだけ·····
私の少しの着替えと
暖の着替えを用意して
病院から言われた入院に必要な物を
準備して病院へと戻る
「お義母さん、すみません。」
「ううん、大丈夫よ。
バタバタしたのじゃない?
少し休んで良かったのに。」
「大学側に名義変更をお願い
してきました。」
と、言うとお義母さんは、
ハッとした顔をして
「····ありがとう。」
と、涙をためながら
言ってくれた。
夕方になり、やっと
暖が目を開けた。
「「暖!!はると!」」
私とお母さん
何度も瞬きを繰り返し
暖は、焦点があうと
私を見て、お義母さんを見て
また、私を見て
優しく微笑んだ
そのいつもの微笑に
私は、ほっとしたのか
涙が止まらずに
暖は、手を伸ばして
困った顔をしながら拭いてくれた。
お義母さんも涙を流しながら
私の涙を拭いてくれて
私達は、顔を見合わせて
笑いあった。
「ごめんね。心配かけて。」
と、私とお義母さんに言う暖。
私は、暖の手を握りしめ
「大丈夫だよ。」
と、言うが説得力なかったようで
苦笑いをされた。
それから、両親と教授、凛さんに
連絡をすると
皆、喜んでくれた。
夕方には、両親と凛さんが
来てくれた。
教授は、
「ワシは行かない方が
良いだろう。」
と、凛さんに言っていたとか
「心配な癖に、変な人よね。」
と、言う凛さんに
皆で笑った。
良かった!
本当に良かった!!
また、皆で笑いあえて······
皆が帰った後
私は、暖に
名義の変わった保険証を見せた。
凛さんが届けてくれた。
多分私の気持ちがわかっているから
無理矢理、大至急作らせたのだろう
ニヒヒっと、笑っていた。
まったく····でも、ありがとうございます。
後で、総務課の方にお詫びして
おこう、うふふっ······
暖は
「···········」
保険証をじっと見つめて
私を見て
また、保険証を見て
「ばかっ」
と、私が言うと
暖の目元からツーっと、
涙が流れた。
「暖、お父さんを叱らないでね。
お父さんもお母さんも
暖と本当の家族になりたい
暖を本当の息子にしたいって
言っていたの。
でも、私は怒ってるよ。
私は、暖の妻だと思っていたんだよ。
恥ずかしいじゃない。
籍入ってないとか。」
と、言うと
何度も頷きながら
「·····ごめん···ごめん····ありがとう····
·····本当に····ありがとう····」
と、言うから
私は、暖の唇にチュッキスをした。
暖は、見る見る内に
真っ赤になり
二人で笑いあい。
「暖、疑わないで。
私は、暖を心から愛してる。
暖と一緒に生きて行きたいの。」
と、きちんと伝えた。
暖は、ハッとした顔をして
「·············ウ···ン····アリガ···トウ····」
瞳から涙が流れる暖の涙を
拭きながら
私は精一杯の笑顔を見せた。