消えない傷・消えない痛み

**怪我


「はい。
潤天堂大学・沢田研究室です。」
と、電話にでると
「青葉さんですか?」
「はい。あの?」
「ああ、私は潤天堂大学病院受付です。」
「ええっ?」
「息子さんが、救急車で運ばれました。」
と、言われて受話器を投げ
走り出す。
「美桜!!」
と、呼ぶ教授の声も耳に入らずに····

受付に行くと
母がいて
「お母さん、暖大は?」
「美桜、寝返りをしていて
机の角にあたってね
額が切れたみたいで。
心配だから、こちらに運んだの。」
「そう。今は?」
「処置してもらってる。
私が受付してくるね。」
と、言ってくれた。

私は、教授に内線で
状態を知らせると
「急にでていくから心配した。」
と、言われた。

処置室の前で待っていると
処置室の扉が開き先生が
出てくる。

立ち上がると

····いお·····り······

呆然と伊織を見ていると
「二針縫ったが、心配ない。
様子を見るため1日入院して
明日、頭部の検査で
問題なければ帰れる。」
と、言われて
「あっ、ありがとうございます。」
と、頭を下げると
暖大をのせるストレッチャーが
出てきて
美桜は、駆け寄る
ちょうど、母も来て
一緒に病室に上がった。

病室で目を覚ました暖大は
母親の美桜がいると
喜んでいた。

その姿を見て
美桜は、ほっとする。

母は、謝っていたが
「お母さん、謝らないで。
かえってごめんね。心配かけて。」
と、言うと
暖大も、おばあちゃんを見て
キャッ、キャッ、騒いでいた。

母は、父に連絡をして
私は、教授に連絡してから
凛さんにLINEをした
凛さんからは、
❬ 帰りによるから ❭
と、返信がすぐにきた。

でも····まさか······
伊織に見てもらうなんて·····

まぁ、伊織は、私に会いたくは
なかっただろうけど
患者さんには、関係ないんだよね。
····ありがとう·····
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