消えない傷・消えない痛み
九話
**お墓参り
暖が、亡くなって二年が過ぎ
暖大とお墓参りに行く。
凛さんも一緒に行ってくれる。
両親とお義母さんは、
別の日に済ませたようだ。
暖大は、凛さんに会えて
大喜び、歩きも上手に
凛さんの元へ
「リー」と呼びながら⋅⋅⋅⋅⋅⋅
「ひろ!!」
と、膝をついて待ってくれて
暖大を抱き上げる凛さん。
私達は、花を買い
お墓へと向かった。
お墓につくと
暖大が
「ああ~!!」
と、騒ぎだした。
見ると⋅⋅⋅⋅伊織⋅⋅⋅⋅⋅⋅
はぁ~っと、ため息をつくと
凛さんが
「えっ?」
「あの頭の怪我を処置して
もらってから。
でも、数回、偶然あっただけなのに⋅⋅⋅⋅
なぜ、あんなに慕うのか
わからない。」
と、言う私に
「ふーん。わかるのかな。」
「ん?何かいいましたか?」
凛の独り言は、美桜には
聞こえてなかったが⋅⋅⋅⋅
凛は、面白い、と思っていた。
一方、伊織は、
暖の⋅⋅⋅⋅⋅と、思い回りを見ると
美桜と沢田講師が見えた。
お互いに黙礼をしたが⋅⋅⋅⋅⋅
手を叩きながら
俺に手を出す子供。
名前は⋅⋅⋅⋅ひろと美桜が言っていたな
俺は、抱き上げながら
「ひろ、パパの墓参りか?」
と、語りかけると
「♯♯♯♭♭♭*◆▼▶」
困ったなぁ⋅⋅⋅⋅何言ってるか
わからない。
と、思っていると
「すみません。先生。
ひろ、おいで。」
と、美桜が声かけるが
ひろは、またまた、フン!と。
「ひろ!!」と、もぉ~と、
思いながら言っていると
「甲斐先生、お墓参り?暖の?」
と、凛さんが訊ねると
「はい。」
と、返事する伊織に
「なら、一緒に行きましょう。」
と、凛さん。
「ええっ」
「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」
「いいじゃない。同じ所に行くのだし。
暖大も喜んでいるのだから。」
と、伊織に抱かれている
ひろに、ねぇと、言う。
ひろは、手を叩いていた。
美桜は、
「すみません。」
と、伊織に言うと
伊織は、
「行こう。」
と、言った。
ひろは、色々、伊織に話しかけている。
伊織は、わからずに頭をかいていて
私は、吹き出してしまった
凛さんも同じで
それを見て、暖大もキャッキャッと
騒いでいる。
暖のお墓につくと
お墓は、両親とお義母さんのお陰で
綺麗になっている。
ひろは下におろしてもらい
花をさわったり
水をさわったりしていた。
その度に伊織に
危ないとか濡れるとか
言われて逃げ回っていたが⋅⋅⋅⋅⋅
私は、伊織と凛さんに暖大を
お願いして、お花を変えて
水を上げながら⋅⋅⋅⋅⋅⋅
暖、不思議でしょ
暖大は、伊織を見ると
毎回、ああなるのよ
と、話していた。
伊織は、暖大をつれて
暖のお墓に手をあわせて
凛さんもお参りしてくれた。
帰り車で来ている伊織が
送ると言ってくれた?が
暖大が離れなかったから。
ジュニアシートが
ついていないから
何かあったら伊織に迷惑かけると
思いお断りをした。
暖大は、泣いたが
「ひろ、先生、お仕事だよ。」
と、言うと
伊織を見て、伊織がごめんな
と、ひろの頭を撫でると
美桜と凛さんに
頭を下げて車に乗り込み
帰って行った。
大学時代に乗っていた車とは
違っていて⋅⋅⋅⋅⋅⋅
遠い昔の話しなんだなぁと
思い知る。