消えない傷・消えない痛み
十一話
**見合い?
今日 暖大は両親に預けて
教授との待ち合わせ時間に
待ち合わせ場所へと急ぐ······
写真をくれようとした教授に
写真は、遠慮する事に。
ホテルの一角に
和模様の茶屋が。
うふふっ、教授らしい。
教授は、甘いものに目がない。
教授とスーツを着た男性が
お団子を食べながら
お茶を飲んでいた。
「遅くなりまして。」
と、声をかけると
教授は、
「あ~、先に食べとった。」
と、言うから
クスクスっ、笑いながら
「美味しかったですか?」
と、訊ねると
「もちろん。」
と、返された。
そこへ
「先に申し訳ありません。」
と、男性より
「あっ、申し訳ありません。
どうぞ、ゆっくり食べて下さい。」
と、話している間に
教授は、美桜の分を頼んでいて
「腰かけなさい。」
と、言われた。
それから、紹介をされた
沢田教授の友人の息子さんで
夏目 蒼大(なつめ そうた)さん
35才、外務省勤務
半年前にドイツから
帰ってきたとの事。
蒼大さんのお父様は、
教授と同じで
大学の教授をされている
研究ではなく考古学。
「あの夏目から、こんな素晴らしい
子ができるとは。」
と、嬉しそうに言う教授。
私もご挨拶をする。
蒼大さんは、私がバツイチなのも
子供がいるのも知っている、とか。
実は、蒼大さんのお父さんが
私を大学で見かけて
私を気に入り
是非と言っていたらしい。
それが叶わずに他の人の物になり
かなり落ち込んでいた⋅⋅⋅⋅⋅とか。
なんだか、不思議な出合いに
驚いていると·····
「どんなに素晴らしい女性かを
ずっと語られて
一目?人耳溺れなんです」
と、蒼大さんは真面目に言う。
私は、
「そんな良いものでは
ありません。」
と、伝えるが⋅⋅⋅⋅⋅
蒼大さんこそ
身長は、189cm?まだ高いような。
仕事中は、コンタクト
私生活は、眼鏡。
切れ長の目
鼻筋は高く綺麗で
薄い引き締まった唇
髪は短めにウェーブがある。
いわゆる、イケメンさんだ。
こんな方が独身なんて⋅⋅⋅⋅
と、思っていると。
「仕事が忙しく
恋愛から遠退いていました。」
と、言われた。
教授から
「美桜、蒼大君の話しは
本当だよ。
短期間にあちこちの国を
回っていて。
夏目から先日
ずっと、一人ではいけない
お前のとこの凛ちゃんは、どうかな?
と、言われたが
彼が、帰国できなくて
写真だけ、送ったが
彼からは、断られたんだ。」
「ええっ、凛さんは、綺麗な方で
私なんか足元にも
およびませんよ。」
と、言うと
蒼大さんは、笑いだして
「確かに綺麗な方ですが
私の中には、ずっと美桜さんが
いまして⋅⋅⋅⋅すみません。
気持ち悪いですよね。」
と、言われて
「いっ、いいえ。
決して、そんな風には。」
と、言うと
ほっとされた顔をされたから
笑ってしまった。
教授は、
「先に帰るから、美桜は
送って貰いなさい。」
と、言うと帰って行った。
一人で帰れるのに
と、思っていたが
蒼大さんからも
「送らせて下さい。」
と、言われて
お言葉に甘えて送って頂いた。
家に付き
タクシーから降りると
蒼大さんもおりてきて
連絡先の交換をした。
すると、玄関が開き
「いお?」
と、暖大が出てきて
「暖大、ただいま。」
と、抱き上げると
「ママ、ちゃ~ん。」
(ママ、お帰りなさいの意味かと)
暖大は、蒼大さんを見て
「こんにちわ。夏目 蒼大と
申します。」
と、頭を下げる蒼大さんに
「たー?」
と、言うから
蒼大さんを見ると
「うん。そうたーだから。
たーだね。」
と、言われて
暖大は、
「たー。」と、言いながら
頭を下げた。