消えない傷・消えない痛み

**誕生日


私の中では、
もう、恋愛は·····と言う気持ちがあった。

伊織に対しても
恋愛感情よりも申し訳なさで
いっぱいだった。

そんな中での蒼大さんとの出合い

友達として·····から······の
スタートとなった。

平日は、蒼大さんも忙しいようで
LINEか電話。
5日間に一度は、暖大にお菓子を
買って会いにくる。

「まずは、覚えてもらわない、とね。」
と、言って·····
暖大も、「ねっ。」
と、言っているが·····

土日のどちらかには、
川だ、山だ、水族館だ、動物園だ
ふれ合い館だ、海だ、と暖大を
連れ出す。

「どちらかは、美桜さんもゆっくり
したいでしょうから」
と、言ってくれた。

ひと月を経つ時には、
暖大も蒼大さんに馴れて行き
出掛ける事を楽しみにしていた。

彼、蒼大さんは、
全力で暖大と遊んでくれる。
だからなのか、暖大も
蒼大さんをすぐに受け入れた。

今では、私より蒼大さんで
服が濡れた、汗をかいた
ジュースを飲む
全て、蒼大さんに言うから
苦笑しかない。

子供に着替えとか
させたことなどないと思うが
必死にやる姿に私も微笑む。
「これで、良い?」とか
「きつくない?」とか
暖大に言いながら
私にも確認している。

川では、魚を取ったり
山では、山菜を取ったりして
暖大に色んな事を教えてくれる。

暖大の2歳の誕生日には、
私、両親、お義母さん、凛さん
蒼大さんでお祝いをした。

凛さんは、蒼大さんを冷やかしたり
して遊んでいたが···
暖大は、嬉しそうだった。

母やお義母さんから
「「暖大は、見ていたらわかるけど
美桜は・美桜ちゃんは、
夏目さんの事、どう思っているの?」」
と、料理をしながら訊ねられて
「えっ、私?私も良い人だと
思っていますよ。
蒼大さん、優しいし暖大をとても
可愛がってくれるし。」
と、言うと
お義母さんが
「じゃ、今度は二人で、
    デートしてきなさい。」
と、言うから
「二人で?」
「そうよ。暖大は大丈夫なんだから
後は、美桜ちゃん次第でしょ?」
と、言われて
母も、「そうよ。」
と、言うから。

平日に、お出かけすることが
決まった。

いつも、暖大がいるからか
妙に恥ずかしい······

それは、お互い様のようだ。
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