寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
するとそのあげはさんと呼ばれる女性は、私に気が付いたようだ。

「あら、どなた?保さんのお付きの女中?」

ズキッと胸が痛くなった。

このみすぼらしい恰好では、そう思われても仕方がない。

「あげはさん、この女性は小花さんと言って、僕の友人だよ。」

「えっ?保さんのご友人?」

じーっと私を見るあげはさんは、きっと私を疑っている。

「小花さん。この方は、あげはさんと言って、橋本家のご令嬢だ。」


この家のご令嬢!?

という事は、私の姉妹……

同じ父を持つというのに、こんなに違うだなんて。


「あげはさんは、この度三橋家のご子息と、婚約が決まったんだ。女子校をご卒業したら、結婚するらしい。」

「婚約と言っても、全然お会いした事ないのよ。それに比べれば、保さんの方がよかったわ。」

兄妹のように仲がいい二人。

小沢さんが、いかにこの家に馴染んでいるか分かる。


そしてドアが開いて、執事がやってきた。

「旦那様が書斎へ来られますようにとの事でした。」

「分かりました。」

「では、小花嬢もご一緒に。」
< 17 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop