寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「小花嬢?」

あげはさんは、首を傾げている。

「あなたどこかのご令嬢?」

そう聞くあげはさんは、父親に妾もいる事も、隠し子がいる事も知らないようだ。

私はにこっと笑った。

「いいえ。私は私です。」

「えっ?」

そう言って、不思議そうにしているあげはさんを置いて、私と小沢さんは父の書斎に着いた。


「お久しぶりです。」

「やあ、保君。あげはの婚約祝い、ありがとう。」

そして父は、私の方を見た。

「小花。久しぶりだな。お母さんは、相変わらずか。」

「はい……」

本当は病気が酷くなって、小沢さんに助けて貰ったって、言ってはダメかな。

私は小沢さんを見たけれど、彼は首を横に振った。

それはまだ、父には内緒らしい。


「では、椅子に座って。要件を聞こう。」

父は椅子に座って、私も向かいの椅子に座ろうとした時だ。

「本日は、お嬢様を頂きに参りました。宜しくお願い致します。」

そして小沢さんは、父に深く頭を下げた。
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