寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「飲みなれると、そんなんでもないよ。」

私がコップにお酒を入れると、保さんはクイッとそれを飲んだ。

「そうか。もう手酌酒を飲む必要はないのか。」

「今までは、手酌だったのですか?」

「1人寝の夜なのに、他に誰もいないだろう。」

私は向かいの椅子に座った。


「さっき、徳次郎さんから『全ては坊ちゃまの言う通りに。』と言われましたけど、あれは何ですか。」

保さんは、じーっと私を見る。

「えっ?」

「小花は、知っているようで、知らないんだね。大方、今夜の寝やの事だろう。」

「寝や……」

すると急に、保さんの真剣な顔が浮かんだ。

「ん?顔が赤くなっているよ。」

「これはっ!その……」

私は頬に、手を当てた。

「気にする事ないよ。君を実際に抱くわけじゃない。」

その言葉に、私は顔を上げた。

「小花を妾に迎えたのは、結婚結婚ってうるさい父を欺く為だ。」
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