寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
まるで、私は保さんに相応しくないと言われているみたいだ。

「小花さんの気持ちは分かる。つい先日、この屋敷に来たばかりだというのに、直ぐに見合い話かとな。」

そんなんじゃない。

私はきっと……

手をぎゅっと、握りしめた。

「小花さん、保はこの見合い話を断るだろう。そこで、君には、保にこの見合い話を受けるように、話をして欲しいんだ。この家としても、公爵家との繋がりを持ちたい。いいね。」

「……はい。」

私に、いいえを言う権利はない。

この家に置いて貰っている以上は、保さんと同じように、お父様の言う事も聞かなくてはいけないのだ。


「話は終わりだ。いや、君が話の分かる娘でよかった。」

「はい。」

「保が結婚しても、敷地内に新しい屋敷を建ててあげよう。そこに移り住むといい。」

「はい。」

そして私は立ち上がり、頭を下げた。

「君は、保を好きだと思ったんだが、違っていたかね。」

保さんを好き?

ああ、今。やっと腑に落ちた。

「私は、妾です。保さんが結婚する事に、異議はありません。」

「そうか。」

そして、私は書斎を出た。
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