寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
書斎の前で、涙が一粒流れた。

私、保さんの事が、好きになっていたんだ。


いつから?

いつからあの、美しい人に恋をしていた?


たぶん。

初めて見た時からだ。


「今になって、初めて気づくなんて。」

私は涙を拭った。

「小花様。」

ちよさんが、私の側に来た。

きっと私が書斎から出てくるのを、待っていたのだろう。

「大丈夫ですか?」

「ええ、私は大丈夫よ。」

作り笑いをして、私は自分の部屋に戻った。


ちよさんから、保さんの結婚の話を聞いていなかったら、きっと書斎で泣いていただろう。

事前に聞かされていて、まだよかった。

「今日は、保さんに会いたくないな。」

だって、会ったらまた泣いてしまう。
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