寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
私は大きく頷いた。

「黙っているつもりはなかった。すまない。もう断った話だ。」

「知っています。お父様からは、この話を受けるように、私が説得するようにと。」

「なんて事を!」

保さんは、私をぎゅっと抱きしめてくれた。


「忘れるんだ。僕は結婚しない。君さえいれば、それでいい。」

今日は香水の匂いがしない。

マダムのところへは、行っていないんだ。

「本当にそれでいいんですか?」

私は、保さんの顔を見上げた。

保さんは、泣いている私を見降ろしている。

「保さんには、私以外に、抱いている人がいるんでしょう?」

「それは……」

「それは、何だと言うんですか?貴族のたしなみだとでも、言うんですか?」

すると保さんは、私に口づけをした。

「保さん……」

「君しかいない。小花と出会ってから、小花しか見えていないよ。」

嘘だ。

この美しい人を、他の女が黙っておく事はできない。
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