寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「……さわかさんは、今日何てお話をされて来たのですか?」

「婚約者に会いに行けと、父上様に言われましたわ。」

婚約者?

もう、婚約の話は進んでいるの?

「その様子ですと、小花さんは保様と私の婚約を、あまり受け入れて下さってはいないようですね。」

私は、ごくっと息を飲んだ。

「父上は、こうも仰っていたわ。保様には、年若い妾がいると。」

私とさわかさんは、見つめ合った。

「どうやら、小花さんが、その妾の方なのかしら。」

知っているのなら、隠す必要はない。

「はい。その通りでございます。」

するとさわかさんは、ふふふっと笑った。


「妾の方って聞くから、どんな方だろうと思ったけれど、案外可愛らしい方なのね。お友達になれそうだわ。」

「お友達?」

「私が嫁いだら、姉妹のように仲良くしてほしいわ。」

私はぽかーんと、口を開けてしまった。

「私ね、小花さん。保様みたいに素敵な方には、一人や二人、妾がいても仕方がないと、思っているのよ。」

「……嫁ぐ前からですか?」

「時期は、あまり大切じゃないわ。要は、私が妻として、保様を支えられるかどうかよ。」
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