寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
驚いた。

小鳥みたいな人だと思っていたから、私みたいな存在がいたら、あからさまに嫌な顔をするんじゃないかと思ったけれど。

彼女はそればかりか、微笑みを浮かべている。

きっと、父親から妾がいると聞いて、彼女なりに考えた末の事なのだろう。


「さわかさんは、保様をお好きですか?」

「まだ、お写真しか見ていないから、好きになれるかどうかは分からないわ。」

「私は、保さんが好きです。」

そう言った私は、悲しくなった。

「誰にも、奪われたくありません。」

「奪うだなんて、そんな。二人でただ共有するだけじゃない。」

「それじゃ、嫌なんです!」


我が侭だって、身の程知らずだって、言われたっていい。

私は、保さんを誰にも取られたくない。


「困ったわね。本当は立場は逆なのに。」

さわかさんの言葉に、ハッとした。

「でも、仕方ないわね。先に保様の物になったあなたを、追い出す何てこと、私にはできないわ。」

するとさわかさんは、私の手を握ってきた。

「どうしても、仲良くする事はできなくて?」

真っ白な、綺麗な手。

お嬢様の手だ。
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