寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「小花さんとは、仲良くしようと思ったけれど、それはできないみたい。」

そう言うとさわかさんは、思いっきり戸を開けて、茶室を出るとバタバタと走って行ってしまった。

残ったのは、私だけ。

一体私が、何をしたというのだろう。


「ふぅー。」

息を吐いて、茶室の入り口の壁に、私はもたれかかった。

本当は、さわかさんの気持ちも、分からないではない。

公爵家ぐらいの位が高いお姫様が、婚約を断られたなんて言ったら、とんだ笑いものだ。

何が何でも、結婚したいのだろう。

相手が、保さんじゃなくても。


その時、ちよさんが入り口から、頭を覗かせた。

「大丈夫ですか?小花様。」

「ええ。何とかね。」

私は身体を起こすと、入り口から外に出た。

いい風が吹いている。

「さわか嬢は、もうお帰りになりましたよ。」

「お帰りになる時、何か言ってなかった?」

「いえ、何も。」

それもそれで、心に何かが残った。
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