寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
それからと言うもの、保さんの帰りが遅くなった。

「今日も、お帰りが遅いのね。」

「そうですね。何かあったのでしょうか。」

夜の10時を超えても帰って来ないのはざらで、ちよさんからは何度も”先にお休み下さい”と言われた。

「もしかしたら、今帰ってくるかもしれないし。」

それでも眠くなってしまって、椅子で眠る事が多くなった。


ある日の事、夜中にドアが開く音がした。

「ああ、起こしてしまったか。」

案の定、保さんのお帰りだった。

「小花を起こしてはダメだと、自分の部屋に行こうとも思うんだが、どうしても君の顔が見たくてね。」

そう言って保さんは、頬に口づけをくれた。

「お帰りなさいませ。今日も遅かったですね。」

「ああ、参ったよ。連日、立て続けに問題が起こってね。」

保さんは勢いよく椅子に座った。

「バーボン、飲みますか?」

「ああ、一杯飲みたいな。」

こんな時間だと、徳次郎さんも寝ているだろうからと、私が取りに行くと言って、部屋を出た。

とは言ったものの、キッチンにはないようだ。


「小花様、どうされました?」

こんな時に運よく、ちよさんに会った。
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