寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
見るとちよさんも、寝間着になっている。

「あの、保さんが飲むバーボンは、どこにあるのかと思って。」

「それなら、坊ちゃまの部屋にあります。」

ちよさんは、寝間着のまま廊下を歩いて、反対側にある保さんの部屋に来た。

「ここですよ。」

ちよさんが部屋を開けると、大きなベッドに、大きな棚があった。

整然とした部屋。

部屋に灯りを灯さなくても、保さんの性格が分かる。


「バーボンは、この棚にあります。」

ちよさんは入り口に近い棚を開けた。

そこには、いろんな種類のバーボンが置いてあった。

「坊ちゃまがお気に召しているバーボンは、今はこれです。」

ちよさんがボトルを出すと、そこには”ワイルドターキー”と書かれていた。

「コップは、これがお薦めです。」

驚く事に、その棚にはコップもいくつかの種類が用意されていた。


「びっくり。ちよさんは、そこまで保さんの事を知っているのね。」

「徳次郎さんから、いろいろと聞きましたから。」

そのちよさんの表情を見て、私はふと思いついた。

「ちよさん。……保さんの事が好きなのね。」
< 71 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop