寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
ちよさんは、ハッとして私を見た。

「お許し下さい。」

「大丈夫よ。ちよさんだもの。」

私はちよさんから、ボトルとコップを受け取った。

「これからもいろいろと教えてね。保さんの事。」

そう言って私は、部屋を後にした。


久しぶりに保さんの部屋に入ったのだろう。

ちよさんは、保さんの部屋に、少し残っていた。

好きな人の部屋に入るのは、特別な想いがあるものね。


そしてどうした事かしら。

さわかさんには、保さんを取られたくないって、あんなに騒いだのに。

ちよさんが保さんを好きだと認めても、何も感じなかった。

ちよさんなら、私を裏切らないと、思っているから?


「戻りました。」

私の部屋で待っていた保さんに、急いでバーボンを注いであげた。

「よく置いてある場所が分かったね。」

「ちよさんが教えてくれたんです。このコップも、ちよさんが選んだんですよ。」

「ちよが?」

バーボンを飲みながら、遠くを見つめる保さんは、今日も美しい。
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