寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「小花さんは、保様のお仕事、どこまでお知りになっているの?」

「……仕事?いえ、何も。」

「そうなの。」

ふふふっと勝ち誇ったように笑うさわかさんを見て、嫌な予感がした。

「もしかして、さわかさんのご実家に、関係しているお仕事なのですか?」

「あら、貴族方というのは、仕事の上でも、多少は関係を持っているものよ。私の実家だけじゃないわ。」

余裕でお茶を飲むさわかさんに、ダメだけれども、心がイライラした。

「……保さんが毎晩お帰りが遅いのは、さわかさんのせいなの?」

「ふふふ。聞こえの悪い。」

だんだん、さわかさんが憎らしくなってくる。

「正直に言って下さい。」

「そうね。あなたの言う通りかもしれないわ。保様には、私との婚約がどんなに利益があるか、知って頂かなくては、なりませんからね。」


やっぱり。

毎晩帰りが遅い程、仕事で困っているのは、この女のせいなの?


「何をしたんですか。保さんに。」

「ちょっと、お仕事をお任せしただけよ。」

「そうじゃないでしょ!」

大きな声を出して、ハッとした。

「まあ、小花さん怖い。でも、これはあなたのせいでもあるのよ。」
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