寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「私のせい?」

そんな馬鹿な!

「保様はあなたがいるから、私と結婚しないと言ったわ。あなたが退けば、保様は私との結婚を見直すと思うの。そうなれば、仕事の問題だって容易に片付くわ。」

「酷い。」

「世の中ってね。裏で回っているのよ。知らなかった?」

薄気味悪い笑いをたたえて、さわかさんは立ち上がった。

「今のお話、保様に伝えてちょうだい。」

「えっ?」

「あなたからも、私と結婚する事が、賢明だと教えてあげてちょうだいね。」

そう言ってさわかさんは、屋敷を出て行った。


一体、どうすればいいの?

結婚を渋っている保さんに、結婚すれば楽になれるなんて話、通じるの?

でも、私の考えは、あっさりと砕かれてしまった。


その日の夜。

夜中帰ってきた保さんが、椅子に座ってぐったりしているのを、私は見てしまったのだ。

「保さん。」

「ああ、小花か。」

その言葉が弱々しくて、もうその姿を見ていられないと思った。

「お話があります。」

私は保さんの膝に、寄り掛かった。
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