寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
だけど、その願いは意外なものだった。

「僕の妾になってくれないか。」

私は、ハッとした。

「この前会ってばかりだけど、一目で君だと思った。君が欲しい。」

驚いている私を、小沢さんはそっと抱き寄せた。

「って言ってもね。カモフラージュなんだ。」

「かも……ふらー?」

「カモフラージュ。見せかけって事だよ。」

小沢さんの優しい目が、私を射抜く。

「僕は25歳になるんだけど、まだ結婚をしていないんだ。早く結婚をして、跡継ぎを作れとうるさくてね。そこでだ。君という妾がいると知ったら、父もうるさく言わなくなると思うんだよ。」

私は下を向いた。

妾って事は、母と同じように、父が来るのを待つ身。

決して、報われない関係だって、知っている。

でも、それで……お母さんが入院してくれれば!


「本当に、母を入院させてくれますか。」

「ああ、約束する。」

小沢さんは、小指を出した。

「約束げんまんだよ。」

「はい。」

私はドキドキしながら、小沢さんの小指に、自分の小指を絡ませた。
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