寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「ちょっと待っていてね。」

三橋さんという紳士は、煙草を灰皿に押し当てると、隣にあるドアを開いた。

「おい、保!愛しの小花ちゃんが、お見えだ!」

「えっ?」

中から保さんの声が聞こえる。


「保さん!」

私はドアを押しのけて、中に入った。

すると保さんは呑気に、ソファーに座って、珈琲を飲んでいた。

「どうして小花がここに!?」

「どうしてじゃありません!何をしているんですか!今夜は、あなたの婚約パーティーなんですよ?」

すると保さんは、また呑気に珈琲をすすった。

「僕は婚約する気はないから、今夜は帰らないよ。」

「何を我が侭、言っているんです!」

私が保さんの腕を引っ張ると、保さんは私の手を振り払った。


「小花は、僕がさわか嬢と婚約してもいいのか!?」

「そういう子供みたいな事は言わないで下さい。」

何度腕を引っ張っても、保さんは動かない。

こんなにも頑固な人だって、知らなかった。

「お客様達は、どうするんです!」

「事情を聞けば、納得して帰るだろう。」
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