寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます。指切った!」

子供の遊びみたいな約束。

でも私にとっては、未来が切り開けた指切りだった。


「これで、君はもう僕のものだよ。小花ちゃん。」

「どうして、私の名前を……」

すると小沢さんは、クスクス笑った。

「薬屋の亭主に聞いた。小花ちゃんの歳も。いい人がいない事もね。」

「ええー!」

あの薬屋さん、いろいろしゃべって~。


「ところで小花ちゃん。このまま君とお母上を、我が屋敷に招待したいのだが、どうだろう。」

「今からですか?」

「善は急げというからね。」

まさか、屋敷に着いた途端、私、襲われたりしないよね。

決まった途端に、不安でいっぱいになった。

「大丈夫。全部、僕に任せて。」

すると馬車は、私の家に向かって、走りだした。

「あっ!薬を買わないと!」

「もっと、良い薬を買ってあげるよ。小花。」

ドキンとした。

急に、名前を呼び捨てにされたから。
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