寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「松永さん。お久しぶりです。」

「久しぶりだな。小沢の坊。まさか、さわかの結婚相手になるとはな。」

「そうとは限りませんよ。」

「なに?」


保さんはニコッと笑うと、私を広場の中央に連れて来た。

「皆の前で、僕は君にプロポーズするよ。」

「えっ?ぷろ……ぽーず?」

すると保さんは、私の前に片膝を着いて、上着から何かの箱を取り出した。

「小花嬢。僕と結婚してください。」

「えっ!?」

驚いたのは、私だけではなかった。


周りのお客様は皆、保さんとさわかさんの婚約だと聞いてやってきたのに、当の保さんは、他の女に結婚を申し込んでいる。

皆が、目を丸くしているのが見えた。

ただ一人だけ、歯ぎしりをしているのが、さわかさんだった。


「こんなの認められないわ!」

さわかさんが、私達の前にやってきた。

「保様の結婚の相手は、この私よ!私に結婚を申し込むべきだわ。」

「僕は分かったんだ。これからは、両親の意図で結婚を決める時代ではないと。僕が愛しているのは、さわか嬢ではない。ここにいる小花だ。」

周りからは、きゃあああと、悲鳴が上がっている。

人前で愛しているなんて、今の時代に、言う人なんていない。
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