愛され王女は王の道をゆく
Ⅰ.飾り姫と最初の騎士
プロローグ
ここクウォール王国の国王には即位前に一つの仕事とは名ばかりの試練が例外なく与えられる。
それが《円卓の騎士》の選定である。
王自らが選び抜いた精鋭十二名によって構成される、その時代において最高の騎士団――それが《円卓の騎士》だ。
当然、当代の王である女王、アナスタシア・グレース・クウォールもまた十二の騎士を揃え王となった。
ここは王の間。そこに踏み入れたのは一人の男だった。
「チェックメイトです女王陛下」
余程の抵抗にあったのか、全身に斬撃による傷を携え、決して少なくない血を流しながら、この場へ到達した男はそう言った。
相手は女王、されど女王。剣も持たぬ王に負傷していようと、剣を持つ自分がとどめを刺せぬ理由はない――と、言わんばかりの眼光に、アナスタシアはため息をついた。
「まったく、貴方のことはそれなりに評価をしていたのだけど、その評価を大幅に下降修正しなければいけないようね。
まさか、ここまで貴方が脳みそお花畑だとは思いもしなかったわ。
私の目利きもナイト達で使い切ってしまったのかしら?
どう思う? ――アルバート伯爵」
「いえ、私の正体に気づいていた時点でとても良い目をお持ちかと。
ただ、経験が足りない小娘だった――それだけのことですよ」
それが《円卓の騎士》の選定である。
王自らが選び抜いた精鋭十二名によって構成される、その時代において最高の騎士団――それが《円卓の騎士》だ。
当然、当代の王である女王、アナスタシア・グレース・クウォールもまた十二の騎士を揃え王となった。
ここは王の間。そこに踏み入れたのは一人の男だった。
「チェックメイトです女王陛下」
余程の抵抗にあったのか、全身に斬撃による傷を携え、決して少なくない血を流しながら、この場へ到達した男はそう言った。
相手は女王、されど女王。剣も持たぬ王に負傷していようと、剣を持つ自分がとどめを刺せぬ理由はない――と、言わんばかりの眼光に、アナスタシアはため息をついた。
「まったく、貴方のことはそれなりに評価をしていたのだけど、その評価を大幅に下降修正しなければいけないようね。
まさか、ここまで貴方が脳みそお花畑だとは思いもしなかったわ。
私の目利きもナイト達で使い切ってしまったのかしら?
どう思う? ――アルバート伯爵」
「いえ、私の正体に気づいていた時点でとても良い目をお持ちかと。
ただ、経験が足りない小娘だった――それだけのことですよ」