旦那様は征服者~帝編~
ガチャガチャ━━━━
あっ!帰ってきた!

玄関にパタパタと向かう。
「ただいま、紫織」
「おかえりなさい」
いつものように、帝の腕の中に閉じ込められる。
帝が腕の隙間から、私のこめかみの辺りにキスをしている。
一度私を離してから、
「紫織。ちょっと見せて?」
「え?」
一歩後ろに後ずさった。
「………」
「帝?」
「その格好で行くつもりなの?」
「え?うん。肩の噛み痕を隠せるのこの服しかなくて……」
私はあまり服を持っていない。
肩を隠せるのを探したが、このちょっとスカート丈が短いワンピースしかなかったのだ。
上に羽織るにしても、最近暑くて季節に合わないのだ。
「そう…しょうがないね……。
わかってると思うけど、俺から何があっても離れるなよ?」
「うん」

エントランスに出ると、佐倉さんが待機していた。
私達は手を繋ぎ、マンション前の車に向かう。
「なんか嬉しい……」
「え?」
「久しぶりに帝とのデートでしょ?」
私は満面の笑みで、帝を見上げた。
「そうだね…
紫織、可愛い……!」
帝が私の頭を撫でる。

運転手さんが車のドアを開けてくれた。
「ありがとうございます」
帝とデートできることの嬉しさでつい、運転手さんに笑いかけてしまう。

こんな小さなことが、帝のスイッチを入れてしまう。

「紫織。俺以外の男に笑いかけるなって言ったよな?」
「ンンン……やぁ…」
車に乗り込んだ途端、深いキスをされた。
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