旦那様は征服者~帝編~
「失礼いたします。皇帝様、奥様」
「こんばんは」
「本日は御来店ありがとうございます」
丁寧に挨拶してくれる。

「お飲み物はどうされますか?」
「紫織は何がいい?」
いつものように私の髪の毛で遊びながら、帝が言う。
「帝と一緒のにする」
「じゃあいつものように頼む」
「はい、かしこまりました。
では係のものに代わります」
女将さんが部屋を出る。

「なんか大変だよね…」
「ん?」
「帝が来たら、必ず挨拶に来られるんでしょ?」
「ん…そうだね…。
ここも俺の店みたいなもんだしね」
私の頬にキスをしていた帝が、不意に言った。
「へ?そうなの?」
帝と結婚して二年も経つのに、知らなかった。

「紫織、キス」
「え…でも…従業員さん来るよ……」
「何?俺に口答え?」
「ご、ごめんなさい…」
「じゃあキス…」
「ん…」
チュッ、チュッと何度も角度を変えて、キスをする。
また、変な気分に━━━━
「帝…」
「ん…?」
「変になる…も…やめ、て……」
「フフ…やだよ…!」
帝のキスが口唇だけでなく、頬や額、瞼などに降り注ぐ。

「失礼いたします」
従業員さんが入ってきた。
「あ…帝……従業員、さん……きた…よ…」
「紫織…俺だけに集中して……?」
「ふぁ…はぁ……」

「お酒……お持ち致しました…」
恥ずかしい……でも口唇が離せない。
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