旦那様は征服者～帝編～
私は帝に逆らえない。

帝は察しの通り、ヤクザの頭だ。
彼に逆らえる人間はいない。
でも私が帝に逆らえないのは、それだけではない。
そこに“愛情”があるからだ。
どうしても放れられないのだ。

そして帝もそれをわかっていて、私を支配し全て管理するのだ。

朝は必ず、一日の予定を伝えなきゃいけない。
スマホも毎晩確認される。
(ロックなどもってのほかだ！)
当然友達ともあまり会えない。
もし会う時は、家でしかも帝がいる時ではないといけないのだ。
万が一予定変更があった場合、その都度電話し帝の許可が必要だ。
この他にもまだまだ色々な決め事がある。

｢早く片付けて、買い物と銀行行かなきゃ！｣
バタバタ片付け、外に出た。

昔は一歩も外に出ることを禁止されていた。
でもそれで私はノイローゼになり、死にかかったことがある。
それ以降は、必要最低限は外に出ることを許可された。
その代わり、色々な決め事をさせられたのだ。
まぁ少しでも外に出れるだけ、いいと思わなきゃな。
そうやって自分に言い聞かせ、生活している。

デパートに着くと、今日はなぜかやけに人が多い。
時々足を踏まれながら、なんとか商品をかごに入れてく。
｢後はおつまみっと！…ってなんであんな上にあるの？取れないじゃん！｣
でもあれじゃないと帝、納得しないしな。
踏み台がないか、キョロキョロしていると、
｢あの、取りましょうか？｣
と他のお客さんに声かけられた。
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